2010年01月23日
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アニメの落日と劇場版映画が増える理由

Written By: トーノZERO連絡先

 以下は、間違って書き込まれていなかった文章です。

 DMのメールを何気なく見ていると。

 深夜アニメの激減があり、アニメをTVで放送してDVDを売るビジネスが行き詰まって、代わりに劇場版映画が増えているのだそうです。

 このことは、1年に1本でも見れば良い方の私が、去年の12月だけで4本も見た状況とも噛み合います。とはいえ、ライダーやアサルトガールズはアニメではありませんけどね。残った2本も深夜アニメ系ではないし。

 しかし、これは最初から明らかだったことでしょう。

 「アニメをTVで放送してDVDを売るビジネスが行き詰まる」のは当たり前。それは最初から無理があったと思います。

 というのは、以下の2つは明らかに別だからです。

  • レーザーディスクを大量に買い込んだ層
  • DVDを売るビジネスの客層

 上の層は、本質的に「大切な思い出は買い込んで保存しておかねばならない」という強い思い入れがあり、高額なLDを大量に買い込んでいたと思います。この層は、おおむね保存した時点で満足します。まだ情熱と金があれば、DVDの出始めにLDを売り払ってDVDに買い換えたかも知れませんが、そこまでです。この層は、基本的に一過性であり、永続しません。思い入れのある作品の数はたかたが知れているのです。それを保存できたらおしまいです。

 しかし、このような層を想定して、「オタクは金になる」という見方も生まれます。

 ところが、ここにもう1つの層が出てきます。

 これが「模倣オタク」です。

 オタクのライフスタイルをかっこいいと誤解し、それを模倣してオタクを気取る層です。

 彼らの目的は「模倣」と「見なし」にあるので、特に思い入れはありません。思い入れがないということは、不正複製品でも構わないことになります。ネットでアニメを交換し、テレビで録画した時点で満足します。それ以上、DVDを買うという行動に出ません。思い入れもないから、スタッフの生活のためにDVDを買う必要があるという発想にも行きません。

まとめ §

 つまり、「みゆき」のLDボックスが出たときに歓喜して買い込んだ層(おいらもそうだ)と、今時のオタクは全くの別人種だと言うことですね。思い入れの熱意が全く違います。というか、技術水準が多くの後悔を残してきたから、昔の人は高額商品も思い切って買い込んだわけです。しかし、今は違います。

 つまり、以下のことが言えます。

  • オタク相手のビジネスは基本的に一過性である
  • 基本的に客が満足した時点で終わる
  • LD→DVDや、DVD→BDのような技術革新のタイミングで需要を喚起できる可能性があるが、徐々に縮小していく
  • 現在あるビジネスは模倣者による模倣であり、期待された水準にはほど遠いだろう
  • 従って、永続する全てのモデルはコレクションによる破綻を宿命づけられている
  • 破綻を回避するにはコレクションしないモデルへと移行するしかない。つまり劇場での上映である

 ちなみに、この構図は、「初期のオタクの多くが実は模倣オタクだった」という事実により見えにくくなっています。

 もう1つ、コレクションしないモデルとは、「見ないで封も切らずにしまい込む」行為の否定でもあります。これは、オタクの持つコレクション趣味という特質の否定でもあり、そういう意味でも脱オタク的です。

 私? 私はもうコレクションには縁遠いですから、劇場アニメが主流でも全く困りませんよ。というか、鉄腕アトム以前に回帰するなら、テレビでアニメなんか見ないで劇場でしょ! 限られたお小遣いで見るアニメを厳選して見に行ったら大外れで泣きたくなって帰る後悔が人生の糧です。